あほろばの手記

生死確認かチラシの裏に書くような散文置き場

光の質量・ひとりあそび

漆黒の闇自体は触れらそうなほどの質感を感じる。
子供の頃、豆電球の明かりを頼りに夜中にトイレに行ったときの闇の深さには確かにそこに何か潜んでいるような質量を感じた
父の生業の造船工場で破れたスレート屋根の隙間から暗い倉庫内に差し込む光はそれこそレンブラント光線と言われるスポットライトで掴めるんじゃないかと幼い私は手を伸ばしていた
微細なチリがチンダル現象を起こして光の道を指し示している
手で掴めなくてもそこにある光の軽さが倉庫内を神聖なものにしていた
私は影絵をするように地面にうつる手の影の形を変え光の軌道を掴もうとしていた
雲の裂け目から射す光は幼い頃の友達が神様が降りてくる道だから大人には内緒だと教えてくれたように今でも穢れなき天使のはしごに見える
大人にっても夜中に目が覚めるとき目の前ののっぺりとした暗がりに手を伸ばして触れる動作をしてしまう
何もない場所で何かに触れてしまってはそれこそオカルトなのだけどそこに確かに質量を感じて私は触れようとしてしまう
すべてはあの頃のように無意識にひとりあそびを繰り返し続ける
光と闇の質量を手にとって自分で確かめるためにずっとずっと・・・