あほろばの手記

生死確認かチラシの裏に書くような散文置き場

「ささやかな抵抗」

私は人を憎まないの
だって憎しみって
そいつに縛られることだもの
あんな奴に縛られるなんてまっぴらごめん
だから憎まず忘れちゃうわ
永遠のさようなら
永遠にさようなら




私にとって「記憶」とは儚く費えるものだ
日々すり減らされ本当に大切なものまで忘れてしまう
常にこぼさぬように注意が必要だ


脳炎の後遺症における
定着しない記憶
連続性のない自我
メモ帳にわずかに書かれたものだけが頼り


強い感情だけが私を繋ぎとめる
過去と未来が昨日と明日が思い出と心が繋がる
強い思慕と重い憎しみがそれらに楔を穿ち橋渡しをする


忘れたい人は簡単に忘れられる
憎まなければ慕わなければ一気に忘却のかなたへ
もう声も顔も思い出も記憶の闇に消えてしまう


儚い夢のように
朝霧のように
霧散する