あほろばの手記

生死確認かチラシの裏に書くような散文置き場

好きな詩・矢と歌/訳の違いをお楽しみください

The Arrow And The Song


I shot an arrow into the air,
It fell to earth, I knew not where;
For, so swiftly it flew, the sight
Could not follow it in its flight.


I breathed a song into the air,
It fell to earth, I knew not where;
For who has sight so keen and strong,
That it can follow the flight of song?


Long, long afterward, in an oak
I found the arrow, still unbroke;
And the song, from beginning to end,
I found again in the heart of a friend.



Henry Wadsworth Longfellow




矢と歌


私は矢を大空に放った
矢は私の見知らぬ大地に落ちた
飛び去る矢は余りにも早く
その行方を追うことなぞできはしなかった


私は大空に向かって歌を唱った。
歌は私の知らぬ大地に消えた
流れゆく歌の行方を
見定める力なぞ誰がもとう


幾多の歳月が流れ去ったのち
私は樫の木に矢が折れずにささっているのを見た
そして、いつかの私の歌がそっくりそのまま、
友の心に宿っているのを知った。



ヘンリー・ワーズワースロングフェロー





昭和22年  文部省の小学校六年 国語教科書の訳詞


空に はなちし わがそ矢は、
あわれ いずこに 落ちにけん。
ときいきおいに まなこすら、
その行く末を 見ざリけり。


空にとなえし わが歌は、
あわれ いずこに 落ちにけん。
いかに目ざとき 人とても、
声の行くえの 見えんやは。


遠くそののち かしの木に、
矢はまだおれで とどまりぬ。
歌のもと末 ふたたびも、
友の心に あらわれぬ。






この詩と出会ったのは10代でした。
ノートの切れ端に書いた詩を見付けられて、からかわれてやめようとしてた時にこの詩と出会い、いじめっ子たちの言うことを聞いてやめるのがとてもばかばかしく思えて、学校を休んで読書と詩を書くことに没頭してました。
結局お情けで中学卒業できるほどしか学校行かなかったけど、この事でその後の私の生き方が決まった。
10代の頃の不安定さを素直に詩にぶつけることで乗り切った、それは今も自信になって私の心の中の磐石になっている。





あなたの放った言葉はどこへ行ったのでしょうか?
良い言葉も悪い言葉も長い月日の中で意外な形で生きているやも知れませんね。