あほろばの手記

生死確認かチラシの裏に書くような散文置き場

私の夢のフィールドノート(測量野帳)

夢の中でひさしぶりに彼女に出会う
遠い世界での邂逅



粗末な服をまとった彼女がくるりくるりと身をひるがえしている
「だんぶる、だんぶる!」
意味不明なそれを調べたら回転と言う意味だった
去年の夏にも同じことを言って回っていた
意味はこの次逢うまでに調べておこうと決めていたから



巻きスカートがひるがえる
ハニーブロンドの長い髪が草原の風に流される
夢の中の私もいつ洗ったのかわからない粗末な服を着ている
私は微笑みと共に目を細め幼い子供のようにはしゃぐ彼女の姿を見ているだけだ




「るくれいつぃあ、あるふぁっとぅ〜」
またわからない単語が出てきた…どうやって調べれば良いのかどの国の言葉なのかキーワードさえ見当がつかない
この間のは盲目のインドの王様の名前だった
言語が多岐に渡るから調べるのも難しいのだ



ただ暖かな草原の上を心地いい風が流れる
独りダンスを踊る彼女の動きが激しくなりハイキックをしたり腕を打ち下ろしたりしている
「からりぱやっと!」
あーそれはなんかわかる気がするぞ
どっかで聞いたような気がする




終始にこにこしてる彼女を見て安心した
しかしいつも思うけど日本語をしゃべってくれない
全然わかんないよ



「っつあー!っけんどー」
日本語言えた言えた知ってたのか
そのしぐさはどちらかと言うとフェンシングだけどな
概念は正解に近い
おしいなあ
くすくすと笑う私につられて彼女もケラケラと明るく笑う



あまりに楽しかったから夢がさめてもおぼえていたよ
誰も知らない
誰もたどりつけない
私だけが知っている
ステッペンウインドゥ




せめて拾えなかった言の葉も
もう一人の私が残らず拾うことだろう