あほろばの手記

生死確認かチラシの裏に書くような散文置き場

怖い話?不可視の世界へようこそ


(恐怖映画的にジョーズのテーマで)



ジャン! ジャンジャン! ジャンジャン! ジャンジャンジャンジャン!



(横浜弁に非ず)




さて、告知したとおり怖い話を書こうと思います。
がしかし、本人はわりと怖いとは思っていないので不思議な話として受け止めてやっておくんなまし〜
幼い時からいろいろあるんだけど「気味の悪い子」「妄想、うそつき」とかけっこう言われ続けてるんで、どこにも誰にも言ってない話ばかりです。


他人には見えないって気付いたの小学校上がってからだしなあ・・・
大人になるにつれ見ないようにしてきたし、加齢により鈍化してるしので最近は区別つくようになりました。


では、大多数の人には多分見えないだろう「不可視の世界」へようこそ


少し昔の出来事になります。
普通に警備の立ち仕事をしてました。
予定日を一週間過ぎて生理が午前中に来たんですが出血が半端な量ではなくなり、仕舞いには尿漏れパットの様に大きな夜用を付けていても一時間も立たない間に漏れるくらい増えていきました。
早退を申し出ようにも入社して一年の自分には恥ずかしくて言えない、どうしてなんだと悩みながらトイレと往復してるうちに立っていられなくなって来ました。


正面を向いてる私に声が聞こえてきました。
「ない、なくなってる・・・ない、ない・・・」
生きてる人間の声とは違うとわかりましたから声のする下のほうを見ると、髪の長い女性が私のへその辺りに手を突っ込み腹の中をかき混ぜてました。
かき混ぜるたびに子宮に触れて怖気と激痛が走る。
大量出血で朦朧として判断力が低下してる私でも「これは尋常なヤバさじゃない」と思いました。
同時に「しかしなんで腹の中のナニを探してるんだろう?」とも思っていました。
「ない・・・どこにいったの?・・・ないのよ・・・ない」
髪の長い女性の下半身は大気にとけるように見えない、髪を振り乱しながら腹の中をかき回し必死に探し続ける姿に「もしかして」と気付いたのは終業間際でした。
その間は女性がいなくなると楕円の卵状の物体で二つほど目のような黒い点があるものが腹の中に入って居座ろうとして強烈な吐き気があったり、再び女性が来て腹の中のそれを掴んで出して「ない、ない」と探すの繰り返しでした。


終業後その足で産婦人科に行き処置をしてもらいました。
結果は「はっきりとした残留物がないから絶対流産だとは言えないけどその可能性は高い」と診断されました。
数日自宅で安静にしてたのですが、寝てるときにまたも卵状のそれが腹に入って薬が効かないほど激痛になり「家にいると余計ヤバイ、まだ彼女と会うかもれない現場のほうがマシ」と思い避難もかねて出勤しました。
出勤すると他所の現場に行くはずが偶然同じ現場の最終日に行くことになっていて、現場に到着して仕事を始めると再びあの女性が私の腹の中をまさぐり始めました。
「もう貴女の探しているものはそこにはないんだよ、とっても残念なのは私も同じだから、だからあきらめてね、お腹さわられると痛いしお願い」と心の中で言うと、周りにいた卵状に浮かんでるものを払い除けながら消えていきました。
振りかえり振りかえり「ほんとに?ほんとなの?」と聞いてきましたが「ほんともういないのよ、からっぽなの」とまた心の中で応えました。


見た目は顔の見える貞子のような感じの女性でしたが、私に危害を加えるわけでもなく有害なものを遠ざけてくれたし結果的に教えてくれたのでちっとも怖くなかったです。
彼女に対していろんな憶測が出来ますが、常に心をニュートラルにして先入観に囚われたくないので私からの憶測はやめておきます。


後日談
五十代手前の男性同僚が霊感のある人らしく、朝から真っ青な顔で私を見てたとか、寒気がすると言って真夏の炎天下の路上で身を震わせてたとかありました。
何が見えていたのかなあと思うのですが、後日数珠を持って「簡単にお祓いしてあげようか?いやその運気が上がるようにとかそんな感じで?ね!ね!」と強く勧められましたが、こんな簡単なことで見えなくなるわけでもなく、女性とはきちんとさよならをしたので問題もないので断りました。
その数日後、その男性隊員が私の後ろで無断で勝手に祓おうとしたまま何かに返り討ちにあったらしく「うーん、うーん」と唸ってたり、私が業務連絡するたびに真っ青になり私の後ろのほうを見ながら髪の毛総立ちしてるとかいろいろありましたが、滑稽に見えて面白かった記憶しかないです。


このお話はこれでお終いです。
私は見えるだけでお祓いとかぜんぜん無理です。
お互いが意思の疎通する気がなければ絶対会話が出来たりするわけじゃないし、生きてる人のように見えるわけではなく水の中のガラスのようにおぼろで「そこに居るように感じる」だけです。
これは私の周りの人はとても怖がるのでトップシークレトなのですが死ぬ前の人がわかったりします。赤の他人はもう運命の歯車が動き出して死に向かうだけの人、俗言う「魂が抜けてる」状態の人しかわからないけどね。
一番辛かったのは十歳のときから父の死がどんなものかわかっていたことですね。
必死に否定してそれでも逆らって、でもどうしようもならなくて・・・心情として子供産むのを急いだのはこのことも少なからず関係してたり。


ちゃんと怖かったですか?
本人は二つの世界が存在するのが当たり前の人生だからどんな感想を持たれたのか書いてくれると嬉しいです。
この事を言って気違い扱いされるのも慣れたけどねぇ、はっはっはっ(乾いた笑)
エピソードはまだまだありますが今回はこれで失礼ヾ(・∀・)ノ゛
ここまで読んでくれた方お疲れ様でしたん。



追記
病院では症状を見て出血の酷さに輸血の準備をしてたら輸血前の検査でぜんぜん貧血ではなくて先生が驚いてました。
私のほうがびっくりだわ。